2007年11月アーカイブ
※参考:「鹿児島県、町内会や自治会にも融資制度 全国初」(2007/10/24 朝日)
※参考:「平成19年度「かごしま共生・協働サポート融資」募集について(新しい制度が始まりました!)」(鹿児島県)
■政策の概要
①内容 : NPO法人や町内会・自治会(法人に限る)に対し、低利融資
②手続 : 取扱金融機関に対し15種類の書類を提出
③保証等 : 信用保証機関の機関保証を付ける。また申請に際し、代表者が連帯保証人に。
■今後の地方行政の「担い手」論
この政策が意図するところは、地方財政が窮乏化していく中、自治体をはじめとする公的セクターの範囲を縮小しつつ、かつ住民への必要な行政サービスの質を確保していくにあたり、NPO法人、町内会、自治会を新たな地方行政・サービスの「担い手」としたい、というところだと思います。
例えば、財政が窮乏した自治体が、道路建設を熱望する住民に対し「重機類は貸し出すから人手は出してほしい」ということで道を作った例があるようです。
■町内会・自治会等を「担い手」として確保するには
サービスの担い手を自治体から町内会・自治会等に移すということは、当然町内会等の持つ役割・規模が従来よりも大きくなるということです。
従って、統治体制、各種手続き、経理等々において、更なる厳格さが求められていくでしょう。
とはいえ、昨今加入者減で体制の維持も大変な自治会・町内会もある中、
自治体「期待してるから頑張って。」では余りに酷というものです。
この点、自治体には町内会等に対し「責任ある体制の確立」に向け、人的支援体制の整備、モデルケースの提示などサポート体制を強化していくべきだと考えます。
■鹿児島県の融資制度について
一件あたりの融資限度額200万円、予算枠2,000万円ということからすると、試験的に"Small Start"という意図が見て取れます。未だ実験段階ということなのでしょう。
今後使い勝手のいい制度として、多くの町内会等に活用してもらうためには、以下の課題があるように思います。
①手続が煩雑 : 融資に当たり、15種類もの書類が必要。
民間金融機関の融資手続は存じ上げないのですが、融資額が同程度のマイカーローンなどにつき、鹿銀などのサイトを見てみると、もっと手続が簡略なように見えます。民間と同程度の簡便さにすべきではないでしょうか。
②連帯保証人の問題
代表者一名を連帯保証人に付けること、となっています。
これは融資を受ける側に財務面での体力が懸念される場合には仕方ないことかもしれません。
例えば、中小企業向けの融資は、たいてい社長が個人保証を付けさせられるようです。
しかしながら、中小企業向け融資と町内会向け融資を、個人保証する側から見ると、決定的な違いがあります。
それは、「利益が得られるか否か」という点です。
中小企業向け融資に個人保証した社長は、事業がうまくいけば自分の給料が上がります。
では町内会向け融資に個人保証した会長には、うまくいった場合に経済的利益があるでしょうか?
にもかかわらず、失敗した、持ち逃げする不心得者が現れたetcの時に、「返済しろ」というのは酷ではないでしょうか?
【私見】
今後町内会等を新たな「担い手」として活用するためには、厳格な、責任ある体制の整備が求められる。
■補足 : 町内会・自治会の法人化について
今回の鹿児島県の融資制度は、対象をNPO法人、町内会・自治会(法人に限る)と、法人に限定しています。
これは至極当然の話で、法人以外を融資対象にした場合は、融資相手が「xx町内会」ではなく「xx町内会 会長 ○山太郎」となり、会長さんが慎ましい暮らしの方の場合そもそも融資できなくなってしまうわけで、かなり使い勝手の悪い制度になることは明らかです。また融資ならびに債務不履行時の法的関係を明快にする意味でも、法人に限定したのではないか?と思います。
ちなみに町内会・自治会の法人化については地方自治法260条の2に規定されています。
初めて知りました・・・勉強になります。
※参考:「鹿児島県、町内会や自治会にも融資制度 全国初」(2007/10/24 朝日)
先日、上記の記事が出ていたので、県のプレスリリース等含め興味深く見てみました。
政策の中身について検討する前に、まずは何より、県の担当部局の方々には心より敬意を表したいと思います。
それは、「全国初」の政策に踏み込むということは、相当に勇気の要ることだと考えられるからです。
そもそも、政策の分野には特許権・著作権は存在しません。
従って、他自治体が既に行っている政策を真似することが可能であり、また政策の波及効果が予めわかっている分、模倣する方がはるかに安全なのです。
それでは「全国初」等の先進的取り組みをすることの意味がないかといえばそうではなく、例えば企業誘致や子育て支援といった、対象となるActor(企業なり、個人なり)を他自治体と取り合う「競争的分野」においては、先進的取り組みを行うことによる「先行者利益」を得ることが可能となります。
ところで今回の鹿児島県の取り組みは、先行者利益が得られる「競争的分野」ではありません。
私は、だからこそ、敢えて全国初の取り組みに踏み込んだ担当部局の方々に大いに敬意を表したいのです。
なお、この政策の中身について若干検討を加えたいと思います。それについてはまた明日。
